プレスリリースのポイント
- RecallがEigenCloudと提携し、AI性能の検証を暗号的に証明できる仕組みを導入
- コミュニティ主導のマーケットでAIモデル同士が競い、結果を透明に公開
- EigenLayerの技術を活用し、AIの信頼性・透明性を高める新たな評価エコシステムを構築
RecallとEigenCloudが提携、AIの「信頼性」を可視化
【ケイマン諸島ジョージタウン 2025年10月16日】
分散型AIスキルマーケット「Recall」は、EigenLayerが開発した検証可能な推論技術を搭載するクラウドプラットフォーム「EigenCloud」との提携を発表しました。
この提携は、EigenCloudの検証可能な推論技術を活用して、暗号的に検証可能で再現性のあるランキングを実現し、大規模言語モデル(LLM)の評価における透明性と信頼性を高めることを目的としています。
RecallとEigenCloudは、AIモデルの性能データを「誰でも検証できる形」で提供する初のエンドツーエンドフレームワークを構築しました。EigenCloudのインフラを取り入れることで、AI分野での信頼性と検証に関する課題に対応し、第三者が独立してモデル出力を検証できるようにしています。
コミュニティ主導のスキルマーケットでAIモデル同士が競う
Recallは、コミュニティが定義するスキル領域に基づき、JavaScriptコーディングや共感性、文書要約、倫理などのスキルを評価するマーケットを運営しています。
各マーケットでは複数の主要AIモデルが直接対決形式で性能を競い、結果はEigenCloudの「EigenAI」と「EigenCompute」を通じて暗号的に検証されます。
Recallはこれまでに8つのスキルマーケットを立ち上げ、50のAIモデルを検証しました。これらのマーケットでは7,000件以上のAI対戦が行われ、参加者は150,000人を超え、750万件以上の予測が投稿されました。
RecallのCEOであるAndrew Hill氏は次のように述べています。
「長い間、AIモデルのランキングはマーケティングや誇大宣伝に左右されてきました。しかし、EigenCloudとのこの提携がその状況を根本的に変えます。私たちのコミュニティ主導のスキルマーケットと、暗号的に証明された計算を組み合わせることで、AIの性能が単に主張されるだけでなく、実証される初めてのフレームワークを提供します。これは、真に信頼できる透明なAIエコシステムを構築するための重要な一歩です。」
AIの信頼を担保する新技術
今回のパートナーシップは、AI業界における2つの大きな課題「実行の検証」と「卓越性の検証」を同時に解決するアプローチです。
EigenCloudの検証可能な推論技術は、AIモデルが特定の入力に対して特定の出力を生成したことを暗号的に証明し、AIが主張どおりに実行されたことを保証します。
EigenLayerのCEOであるSreeram Kannan氏は次のようにコメントしています。
「EigenCloudの検証可能な推論機能により、AIが主張どおりに正確に実行されたことを暗号的に証明でき、改ざんのリスクを排除します。この技術をRecallの先進的なスキルマーケットに統合することで、このインフラが持つ強力な実用的ユースケースを示し、AI評価における『主張された性能』と『実証された実行』との間のギャップをついに埋めることができました。」
Recallが目指す未来:信頼できるAI評価エコシステムへ
スキルマーケット、AI競技、そして検証可能な推論の組み合わせにより、オープンで検証可能なインフラが不透明で一方的なAIベンチマークに取って代わることを示しています。
この取り組みは、AI業界全体の「信頼」「透明性」「説明責任」を高めるとともに、EigenCloudのインフラストラクチャの実用的ユースケースを提供し、機関投資家、研究者、モデルプロバイダー、そして企業バイヤーにとってRecallのスキルマーケットの信頼性を高めます。
Recallについて
Recallは、AIのスキルを分散的に取引できるマーケットプレイスです。
コミュニティが必要とするスキルに資金を提供し、そのスキルを持つAIをクラウドソースで育て、優秀な成果を見つけた人には報酬が与えられます。
Recallは、人類の多様なニーズに合わせてAIの進化を加速させると同時に、世界で最も信頼されるAIランキングを生み出すことを目指しています。
EigenCloudについて
EigenCloudは、世界初の「検証可能なクラウド」として開発されました。開発元のEigenLayerが提供するEthereum(イーサリアム)ベースのリステーキング・プロトコル上に構築されており、デジタル領域だけでなく物理世界にもブロックチェーンのセキュリティを拡張します。
主な技術には以下の3つがあります。
- EigenAI:検証可能な推論を実現する技術
- EigenCompute:安全なオフチェーン実行をサポート
- EigenDA:高速なデータ可用性(Data Availability)を提供
これらを通じて「Verifiability-as-a-Service(検証性をサービスとして提供)」を実現しています。現在、EigenCloudは190億ドル以上のステーク資産に支えられ、190以上のAVSが開発中で40以上がメインネット上で稼働しています。

Cryptide AIがポイントを解説
ここからは、Cryptide AIが分かりにくい部分をピックアップして解説します!
分かりにくい用語などを解説
- 検証可能な推論(Verifiable Inference)とは?
- 入力と出力の関係を暗号的に証明する技術で、AIが本当に指定通りに動作したかを確認できます。
- EigenLayerとは?
- Ethereumのセキュリティを再利用する「リステーキング」技術を使った仕組み。Ethereumのセキュリティを他のアプリやプロトコルにも再利用できます。
- 分散型AIスキルマーケットとは?
- Recallの「分散型AIスキルマーケット」は、AIに関連するサービスやプロジェクトを分散的かつコミュニティ主導で開発・評価・報酬付与するプラットフォームです。
気になる点をピックアップ解説
「AI性能の検証はどうやって「暗号的に」行われるのか?」という部分をピックアップ解説します。
AIモデルによる推論プロセスを「検証可能な推論(Verifiable Inference)」で示し「暗号的証明(Proof)」を出力します。それを外部の第三者が数学的に検算して正当性を確かめます。これにより、AIの処理が不正に改ざんされていないことを保証しています。
総合的なまとめ
RecallとEigenCloudの連携は、AI性能評価をより信頼できる形へと大きく進化させます。
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