プレスリリースのポイント
- 世界最速の並列MPCネットワークを提供するIkaが、human.techと提携し「Wallet-as-a-Protocol(WaaP)」を発表
- 2PC-MPC技術によるゼロトラスト分散ウォレットで、カストディリスクと単一障害点を排除
- 開発者・ユーザー双方にとって安全でシームレスなマルチチェーン対応インフラを実現
Ikaとhuman.tech、次世代分散型ウォレットインフラ「Wallet-as-a-Protocol(WaaP)」を発表
【スイス・ツーク 2025年10月22日】
世界最速の並列MPCネットワークを提供するIkaは、テクノロジー企業human.techとの主要なパートナーシップを発表しました。
両社は、Ikaの革新的な2PC-MPC暗号技術を基盤にした、新しいカテゴリの分散型ウォレットインフラ「Wallet-as-a-Protocol(WaaP)」を導入しました。
Wallet-as-a-Protocol(WaaP)とは何か
WaaPは、従来の「Wallet-as-a-Service(WaaS)」モデルを進化させた新概念です。
これまでのWaaSでは、アプリがユーザーのウォレットを完全に管理していたため、カストディリスク(資産の管理リスク)やセキュリティ上の懸念が発生し、同じウォレットを複数のアプリで横断的に利用できませんでした。
WaaPでは、ウォレットのロジック、鍵の管理、アクセス制御を中央集権的なサーバーに依存せず、ゼロトラストネットワーク全体に分散化します。ユーザーの鍵シェアはローカルに保持され、署名処理のためのもう一方の鍵シェアはIkaの分散型MPCネットワークで管理されます。
uman.techを含むいかなる組織も、秘密鍵にアクセスしたり再構築したりすることは不可能で、セキュリティとプライバシーが大幅に向上します。
この仕組みにより、Human Walletは単なるサービス提供者から、オープンで分散型のウォレット基盤へと進化します。
Ikaの共同創業者 David Lachmish氏 は、次のようにコメントしています。
「2PC-MPCはウォレットの概念そのものを変えます。一方的な制御を排除し、実世界のスループットに対応できるスケーラビリティを実現し、分散型で柔軟かつ安全なウォレットをインフラレベルで初めて実用的なものにしました。」
WaaPが変えるウォレットの仕組み
Ikaの2PC-MPC(Two-Party Computation Multi-Party Computation)プロトコルは、秘密鍵を2つの独立した暗号シェアに分割します。
- ユーザーシェア:ユーザーがローカル環境で保持し、承認を行う部分
- ネットワークシェア:Ikaの分散型2PC-MPCネットワークが運用する部分
署名を行う際は両方のシェアが必要で、完全な鍵が再構築されることは一切ありません。これにより、ローカル環境の侵害やネットワークレベルでの共謀にも強い、ゼロトラストな署名環境が実現します。また、大規模運用下でもサブセカンド(1秒未満)の署名遅延を実現します。
human.techは署名レイヤーをIkaに移行することで、プログラマブルなセキュリティとアクセス制御を分散化した、初のウォレットプロバイダーとなります。グローバルなゼロトラストMPCネットワークを活用することで、より安全で柔軟なウォレット基盤を構築します。
なぜこの取り組みが重要なのか
このパートナーシップは、ウォレットの安全性と透明性を再定義する重要な一歩です。
- 分散型セキュリティ:単一障害点(Single Point of Failure)がなく、エンクレーブやカストディサービスが不要
- 検閲耐性:いかなる第三者もユーザーの意図を改ざんしたり制限したりできない
- ゼロトラストUX:署名レイヤーで安全なポリシーが適用され、人間可読なメッセージで確認可能
- プロトコルレベルでのコンポーザビリティ:iframe型カストディや追加手数料を必要とせず、複数アプリで利用可能
開発者のための新たな開発基盤
WaaPは、Bitcoin や Solana をはじめとする複数チェーンに対応しており、EIP-1193に完全準拠しています。
Ethereum系ウォレットを含むさまざまなブロックチェーンアプリで、共通のプロバイダーインターフェースを利用して簡単にHuman Walletを統合できます。開発者向けには、developer portal にサンプルコードとクイックスタートガイドが公開されており、数分で導入可能です。
さらに、開発者は暗号的な制御を通じて以下のような機能を実装できます。
- シームレスなオンボーディング
- プログラマブルなポリシー設定
- ガス代支援
- 多要素認証(MFA)
セキュアなユーザー体験の新時代
IkaのMPCネットワークとSuiブロックチェーンを組み合わせたWaaPモデルは、クロスチェーン対応の分散セキュリティと高い相互運用性を備えています。ユーザー主権を確保しながら、開発者にとってもシンプルで柔軟なUXを実現し、現実的なセキュリティ水準とスケーラビリティを両立させています。
Human Tech共同創業者 Nanak Nihal Singh Khalsa氏 は、次のようにコメントしています。
「“Wallet-as-a-Protocol(プロトコルとしてのウォレット)”は、“Wallet-as-a-Service(サービスとしてのウォレット)”が目指していた姿です。それは、ユーザーに所有権を、開発者にコンポーザビリティ(組み合わせ可能性)を、そしてエコシステムに信頼された仲介者を排除する道を提供します――これらすべては2PC-MPCによって実現されています。」
human.techについて
Ikaは、ゼロトラストセキュリティと高速MPC処理を両立させた世界最速の並列MPCネットワークを展開しています。マルチチェーンDeFiや分散型カストディ領域での活用が進んでおり、デジタル資産セキュリティの新たな基盤として期待されています。
human.techについて
human.tech は、プライバシーと個人の自由を守りながら、金融やデータの分野でユーザー主導のインフラを構築するテクノロジー企業です。

Cryptide AIがポイントを解説
ここからは、Cryptide AIが分かりにくい部分をピックアップして解説します!
分かりにくい用語などを解説
- 「MPC」とは何か?
- 複数の計算ノードが協力して秘密情報を処理する「マルチパーティ計算(Multi-Party Computation)」のことです。秘密鍵を共有しながらも、誰も完全な鍵を知ることなく安全に共同で計算を行うことができます。
- 「2PC-MPC」とは?
- MPCの中でも「2者間」で行う特殊な方式です。秘密鍵を2つの異なる場所(または組織) に分割して、それぞれが協力して署名などの操作を行います。
- 「Wallet-as-a-Service」と「Wallet-as-a-Protocol」の違いは?
- WaaSは企業がウォレットを管理する仕組みで、WaaPはその管理を分散化してユーザーが完全に所有権を持つ構造です。
気になる点をピックアップ解説
「2PC-MPCのメリットは?」という部分をピックアップ解説します。
2PC-MPC(Two-Party Computation Multi-Party Computation)は、従来のMPCが抱える「処理の遅さ」や「複雑さ」を解消した次世代の暗号技術です。秘密鍵をユーザー側と分散ネットワーク側の2つに分割し、どちらも単独では鍵を再構成できないため、ゼロトラストで高い安全性を実現します。さらに、通信が2者間中心のため計算ラウンドが少なく、署名処理を1秒未満で完了できる高速性も特徴です。
総合的なまとめ
Ikaとhuman.techによるWaaPは、分散型ウォレットの概念を再設計し、2PC-MPCによって実用レベルでの安全性と速度を両立しました。新しい分散型インフラの標準化に向けた重要な一歩といえます。
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