「暗号資産を持っているけれど、何に使えるのか分からない」、「短期売買や送金、決済以外に何に使えるの?」と思っている方もいると思います。
そこで、この記事では個人のDeFiに焦点を当てた使い方を紹介します。
DeFiの中にもいろいろありますが、「レンディング(主に暗号資産を貸し出して金利収入を得る方法)」について解説します。
- DeFiとレンディングについて
- Web3ウォレットからレンディングを始めるための準備
- Web3ウォレットからAaveを利用する具体的な手順
最終更新日:2025-12-24
DeFiとレンディングについて
レンディングを始める前に、DeFiとレンディングについて解説します。
DeFi(ディーファイ)とは
DeFi(Decentralized Finance)とは、「分散型金融」のことで、ブロックチェーン技術を使った、中央管理者のいない新しい金融の形を指します。
「中央管理者がいる」状態とは、日本円を別のお金に交換したい場合、「銀行」というお金の管理者を経由して交換します。
この場合、銀行が「中央管理者」になります。
一方、分散型金融の場合は、中央管理者がいません。
その代わり、スマートコントラクトと呼ばれるブロックチェーン上のプログラムが、自動で管理・実行を行います。
レンディングの仕組み
分散型金融には、DEX(分散型取引所)、ステーキング、レンディングなどがあります。
今回紹介する「レンディング」は、暗号資産の貸し借りを行うサービスのことです。
暗号資産を持っている人が資産を供給し、必要な人に貸し出し、その代わりに利息をもらう仕組みです。
- 基本の流れ
- 貸し手:資産をレンディングサービスに預けると利息がつく
- 借り手:暗号資産を借り、借りている間は利息を払う
- 主流はプール方式
- 銀行のように「審査して貸す」のではなく、供給された資産を一つの箱(流動性プール)に集める
- 借り手はその箱から借りる
- 金利
- 金利は固定ではなく、需給で動く変動型
- 借り手が増える → 金利が上がる
- 借り手が減る → 金利が下がる
- 借りるときは担保が必要
- 借り手が踏み倒せないように、借りる金額以上の担保を先に預ける(過剰担保)
- 市場が急変し、担保資産の価格が下がると強制的に担保が売られることがある(清算)
Aave:レンディングを代表するサービスの一つ
Aaveは、分散型レンディングプラットフォームの一つで、流動性プール(プール方式)を採用しています。
Aaveのレンディングの仕組み・リスクを知りたい場合はこちら。

暗号資産を貸し出す側のメリット
暗号資産を貸し出す側のメリットは、「貸し出すことで金利を得られる」ことです。
注意点としては、「流動性プールに十分な流動性(=借りられていない分)がない」場合、預けた暗号資産が一時的に引き出せなくなる可能性があります。
JPYCは貸し出せる?
残念ながら、AaveにJPYCのレンディングはありません(2026年12月24日時点)。
そのため、JPYCを発行後に別の暗号資産に交換する必要があります。
JPYCと同じネットワークで、かつ安定性と流動性がある「USDC」がおすすめです。
JPYCが発行できるネットワークと、そのネットワークのUSDCの金利は次のとおり。
※1 2026年12月24日時点の貸し手のAPYです。金利は変動するので最新情報は公式サイトで必ず確認してください。
Ethereumはガス代(送金手数料など)が高くなるため、試しに利用するなら「Polygon」や「Avalanche」がおすすめです。
各マーケットに表示されている「暗号資産」画面の見かた
マーケット一覧に表示されている暗号資産を選択すると詳細を確認できます。
下記の画像は、Polygonネットワークの「USDC」の貸し手(Supply Info)に関する情報です。
例:Polygon
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| Reserve Size | マーケット(Polygonネットワーク)で、対象の暗号通貨(USDC)がAaveに預け入れられている総量 |
| Available liquidity | 今すぐ引き出せる空きのUSDC量 ※これが小さいと引き出しにくくなる |
| Utilization Rate | 預けられた暗号資産のうち、「借りられている暗号資産」の比率 |
| Oracle price | Aaveが参照している「暗号資産の価格情報」 ※USDCは通常$1.00付近 |
| Total supplied | その暗号資産がAaveに預けられている総量 ※この場合の供給上限は100.00M ※供給上限に近いと新規預け入れがしづらくなる |
| APY | 貸し手の利回り |
| Supply APR | 利回りの推移 |
| Max LTV ※借りる側の情報 | 担保価値に対して最大どれだけ借りられるか |
| Liquidation threshold ※借りる側の情報 | 健康度(Health Factor)が崩れて清算が起き始める境界 |
| Liquidation penalty ※借りる側の情報 | 清算されたときにかかる追加コスト |

事前準備:MetaMaskと資金準備
ここからは日本円をどのようにWeb3で使えるようにするのか、その方法を紹介します。
まず、次のものが必要になります。
レンディングに必要なもの
- Web3ウォレット(MetaMask、Ambire walletなど)
- ガス代(スワップ、送金などに利用する手数料)
- 貸し出す暗号資産(JPYCをスワップしたUSDCなど)
前述の必要なものを、以下の手順で取得していきます。
- MetaMaskを準備する
- JPYCを発行してMetaMaskで受け取る
- JPYC EXにアカウントを作成
- 発行先アドレスにはMetaMaskを指定
- MetaMaskからAmbire Walletに切り替える
- ガス代を取得
- 貸し出す暗号資産を取得
順番に解説していきます。
MetaMaskを準備する
まずは、MetaMask(メタマスク)を準備します。
法定通貨(日本円)のままではDeFiで使えないため、法定通貨を暗号資産「JPYC」に変えます。
この暗号資産を受け取るために必要になるのが「MetaMask」です。
Chromeブラウザにインストールして使う「拡張機能版MetaMask」を準備しましょう。
ブラウザの拡張機能版の方が、各サービスとの連携(接続)が安定します。
JPYCを発行してMetaMaskで受け取る
日本円を暗号資産「JPYC」変えます。
JPYCの発行手順はこちら。

JPYC発行時には、以下の点に注意しましょう。
- 試しに利用する場合は、JPYC発行時のネットワークでPolygonまたはAvalancheを選択
- 発行先のアドレスには「MetaMask」のアドレスを指定
※この記事ではPolygonを選択しています。
MetaMaskからAmbire Walletに切り替える
今までの手順で進めてきた場合、MetaMaskには「JPYC」しか入っていないと思います。
Web3では、他の暗号資産を購入したり、送金したりするのにガス代(手数料)が必要になるため、ガス代を手に入れる必要があります。
ですが、ガス代を購入するにもガス代が必要になるため、これを解決するためにAmbire Walletを使います。
ガス代を取得
MetaMask作成時にメモした「シードフレーズ」を使って、Ambire Walletを作成します。
Ambire Walletを作成したら「スワップ」を選択し、JPYCを使ってネイティブトークンを取得します。
ガス代とは?
「ガス代」とは手数料のことです。
処理が複雑になるほど、ガス代が高くなります。
Web3では、主にそのネットワークの「ネイティブトークン」がガス代として使わます。
ガス代の例:
- Polygonネットワーク:POL
- Avalancheネットワーク:AVAX
- Ethereumネットワーク:ETH
Ambire Walletとは?
「Ambire Wallet」は、ブラウザ拡張機能で提供されているWeb3ウォレットです。
既存ウォレット(MetaMaskなど)をインポートして利用できます。
また、ガス代となるネイティブトークンを持っていなくても、「他の暗号資産をガス代に代用できる」ため、JPYCしか持っていない場合でも、スワップなどが使えます。

貸し出す暗号資産を取得
ガス代を取得した方法と同じようにして、貸し出す暗号資産を取得します。
この記事では「USDC(Polygonネットワーク)」を取得します。
Ambire Walletを開いて、「Swap&Bridge」を選択します。

交換元の暗号資産を選択し、交換数量を入力します。
次に交換先のネットワークを設定し、暗号資産を選択し、「Proceed」を押下します。
※「JPYC」を同じPolygonネットワークの「USDC」に交換しています。

スワップにかかる手数料が表示されるので、内容を確認して「Swap」を押下します。

Swapが無事に完了すると一覧に交換した暗号資産が表示されます。

これで準備完了です。
【実践】Ambire WalletからAaveを利用する手順
「ガス代」、「貸し出す暗号資産」の準備が整ったら、いよいよAaveを使ってレンディングを始めます。
Aaveでレンディングする手順を短くまとめた動画です。
動画内の手順をまとめると次のようになります。
Aave公式サイトにアクセスして右上メニュー「Connect wallet」を選択します。
接続先一覧から「Ambire」を選択します。
接続許可(接続する内容なども一緒に表示される)が表示されるので、確認して「Connect」を押下します。
この記事ではPolygonネットワークのUSDCを利用するため、マーケットを「Core Instance」から「Polygon」に変更します。
選択したマーケットで貸し出し可能な暗号資産一覧が表示されます。
貸し出す暗号資産の行の「Supply」を押下します。
貸出数量を入力します。
右側にある「MAX」をクリックすると、全数量を入力できます。
入力が完了したら、「Approve USDC to continue」を押下します。
最初のトランザクション処理が表示されます。
これは、Aaveがウォレットから暗号資産を引き出して使えるように許可します。
画面下に手数料(Pay fee with)が表示されます。
「Sign]を押下し、処理が完了したら「Close」を押下します。
利用許可が完了したら次は実際に持っている暗号資産を貸し出します。
内容を確認して「Supply USDC」をクリックします。
USDCが引き出されると、変わりに「利息付与トークン」が発行されます。
画面下に手数料(Pay fee with)が表示されます。
「Sign]を押下し、処理が完了したら「Close」を押下します。
「All done」と表示されれば貸出完了です。
「Add to wallet」をクリックすると、利息付与トークン(aPolUSDCn)をウォレットに追加できます(すでに追加されている場合は追加不要です)。
Aaveで利息の発生を確認する方法
Aaveでレンディングを開始すると、利息は「利息付与トークン(aPolUSDCn)」にたまっていきます。
利息が増えているかは、以下の方法で確認できます。
まずAaveに接続したウォレット(ここではAmbire wallet)にログインして、利息付与トークンをクリックします。

小数点以下の数量も表示されるので、メモしておいた「貸出時の数量」と「現在の数量」を比較しましょう。
※貸出数量が少ない場合、小数点以下の数量も確認しましょう。

貸出時の数量が分からない場合
貸出時の数量が分からない場合は、トランザクション履歴から確認できます。
Aaveに接続したウォレットにログインして、Transaction historyを確認します。
Ambire walletの場合は、右上メニューから「Transaction history」をクリックします。
履歴の中から、Aaveに出金しているTransactionを探して「View transaction」をクリックします。

「Open explorer」をクリックします。

トランザクションの詳細画面が表示されます。
Polygonチェーンのエクスプローラーの場合は「Tokens Transferred」で貸出時の数量を確認できます。
※チェーンによってエクスプローラーの仕様が異なります。

初心者が特に注意すべきリスクとポイント
DeFiは高い利回りを得られますがリスクも存在します。
これらを理解しておく必要があります。
- 変動金利のリスク
-
Aaveの金利(APY)は、銀行の固定金利とは異なり、市場の貸し借り需要によって常に変動します。
金利が大きく下がることもあれば、急上昇することもあります。
- ガス代(ネットワーク手数料)
-
Polygonネットワークは安いとはいえ、取引(貸付、引き出し、承認など)のたびにガス代が必要です。
少額の取引でも頻繁に繰り返すと、手数料負けしてしまう可能性があるため、ある程度まとまった金額で取引を始めましょう。
- スマートコントラクトのリスク(ハッキング・バグ)
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Aaveのプロトコルは世界最高峰の監査を受けていますが、スマートコントラクトのバグ(欠陥)や、それを突いたハッキングのリスクはゼロではありません。
万が一の場合、預けている資産が失われる可能性があります。
必ず余剰資金で行い、一つの暗号資産に集中させすぎないようにしましょう。
Aaveでレンディングする時のよくある質問
まとめ
MetaMask(またはAmbire wallet)とAaveを使えば、これまで専門的だったDeFiのレンディングを初心者でも簡単に始めることができます。
- Aaveは中央管理者がいない分散型レンディングサービス
- Polygonネットワークを使えば、低コストでAaveを利用できる
- Ambire walletを利用することで、JPYCを使って、ガス代やUSDCへのスワップがスムーズに行える
DeFiは奥が深い世界です。さらに探求するのもいいかもしれません。
この記事は情報提供であり、特定の投資を推奨するものではありません。暗号資産の運用は、価格変動やシステムリスクなどを伴います。必ずリスクを理解したうえで、自身の責任と判断で行ってください。
