ビットコインやイーサリアムの価格が不安定な動きを見せる中、大口投資家たちは水面下でどのような戦略をとっているのでしょうか。
オンチェーン分析の権威であるGlassnodeが発表したレポート「Strategy Watch #2」(2026年3月24日公開)は、現在の暗号資産市場における「資本の避難」を浮き彫りにしています。
「リスクオフ」へのシフト
レポートの中で注目すべきは、主要資産から安定資産への資金移動です。
2月から3月初旬にかけて、ビットコイン(BTC)とイーサリアム(ETH)からは合計で約128億ドルの純流出を記録しました。
Glassnodeの分析: 「BTCとETHの資本フローがそれぞれ-96億ドル、-32億ドルを記録する一方で、ステーブルコインは+62億ドルの純流入に転じた。これはリスク許容度の回復ではなく、防衛的なリポジショニングを反映している可能性が高い。」
通常、ステーブルコインへの流入は「買い待機資金」とポジティブに捉えられることもありますが、同レポートはこれを守りの姿勢であると分析しています。
2026年第1四半期の不透明な地政学リスクも投資家を慎重にさせているようです。
回復の兆しを見せるETFとDAT
一方で、完全に悲観一色というわけではありません。
2月に大きく落ち込んだ「BTC ETF」および「DAT(デジタル資産ターゲット)」の資金流入には、わずかながら回復の兆しが見られます。
- BTC ETF:+2.8万BTCの回復
- DAT:+29.5万ETHで安定
ただし、レポートはこの回復を「初期段階かつばらつきがある」としており、機関投資家の確信が全面的に戻ったと判断するのは時期尚早であるとしています。
低迷するDeFiと圧縮される利回り
オンチェーン活動、特にDeFi(分散型金融)においては、より厳しい数字が出ています。
イーサリアム上のDeFi TVL(預かり資産)は2月に月間237億ドルのマイナスを記録しました。
これは、流動性供給や利回り戦略といったオンチェーンでの運用から、資金を引き揚げていることを示唆しています。
また、CME(シカゴ・マーカンタイル取引所)のベーシス・イールド(現物と先物の価格差を利用した利回り)も圧縮されており、「低リスクで手堅く稼げる手法」の魅力が薄れています。
2026年1月から3月初旬にかけて、流動性がタイトな状況が続いており、投資家がリスクを避けて運用規模を縮小させている状況が反映されています。
CMEのベーシス・イールドとは?
「CMEベーシス・イールド」とは、「現物価格」と「先物価格」のズレを利用した利回りのことです。
投資家にとっては「ノーリスクに近い」方法で利回りを得ることができます。
【仕組み】
ビットコインなどの価格が上がると期待されている時、数ヶ月先の予約価格(先物)は、今の価格(現物)よりも高く設定されます。
- 今買えば: 100,000ドル
- 3ヶ月後の予約価格: 103,000ドル
このとき、投資家は「今現物を買い、同時に先物を売る」というセット注文を出します。
すると、3ヶ月後には価格が上がろうが下がろうが、この差額の3,000ドルが確実に利益になります。
まとめ:2026年Q2に向けて
Glassnodeの「Strategy Watch #2」が示す現状は、一言で言えば「嵐が過ぎさる待っている状態」です。
300社以上のマネージャーを対象にした調査(Manager Monitor)の結果を見ても、LPの大半は富裕層が占めており、機関投資家の参加は限定的です。依然として慎重な姿勢を維持しているといえます。
Glassnode 「Strategy Watch #2」(March 24, 2026)の詳細なデータやマクロ戦略の深掘りについては、公式サイトよりPDF版のフルレポートが公開されています。

