プレスリリースのポイント
- Cango Incが第2四半期のビットコインマイニング決算を発表した
- マイニング能力が50 EH/sに到達し収益は1億3,980万米ドルを計上した
- 純損失は資産売却と減損損失によるもので、事業不振によるものではない
Cango Inc、第2四半期のビットコインマイニング事業決算を発表
香港を拠点とする Cango Inc (NYSE: CANG) は、2025年6月30日に終了した第2四半期の未監査財務結果を公表しました。今回の決算は、同社が暗号資産関連事業へと戦略的に移行して以降、初めてのフル四半期報告となります。
ビットコインマイニング能力と収益の状況
2025年6月30日時点で、Cango Incの総マイニング能力は 50 EH/s に到達しました。これは、2025年6月に18EH/s分を買収・取得したことによる成果です。
当期の総収益は1億3,980万米ドルで、そのうちビットコインマイニングによる収益が1億3,810万米ドル を占めています。また、調整後EBITDAは 9,910万米ドルを記録し、ビットコインマイニング事業が同社の収益源として非常に大きな割合を占めていることが分かります。
5月には中国拠点の資産を3億5,200万米ドルで売却し、進行中の戦略的取り組みを支えるための十分な流動性を確保しています。
マイニング実績とコスト構造
四半期中にCangoは合計1,404.4 BTCを採掘しました。
マイニングにかかったコストをまとめると下記のようになります。
- 現金ベースのコスト(減価償却除く):1BTCあたり83,091米ドル
- 総コスト:1BTCあたり98,636米ドル
さらに、ビットコインマイニング事業を開始して以来、累計で 3,879.2 BTC を採掘しています。
純損失の背景
当期の純損失は事業不振によるものではなく、主に以下の要因によるものです。
- 廃止事業による一時的損失
- 昨年11月に契約したマイニング機器に関連する非現金の減損損失
このマイニング機器の取引は株式で精算されましたが、契約から納入までの間に Cango株価が大幅に上昇したことで損失計上が必要となりました。そのため、戦略上の一環であり、事業の不振による損失ではありません。
CangoのCEOである Paul Yu氏 は次のように語っています。
「今期は戦略的な事業変革後、初めてのフル四半期決算となり、大きな節目を迎えました。このわずか9か月の間に、当社は世界でも有数のビットコインマイナーとしての地位を築き上げました。これは、初期投資を最小限に迅速な拡張を可能にする“アセットライト戦略”に支えられた結果です。この戦略により、1BTCあたりの現金コストは高めとなりますが、減価償却費を抑えることで総合的なコスト競争力と資本効率を確保しています。今回18EH/sを追加取得したことで、総マイニング能力は50 EH/sに達し、2025年7月にはビットコインの生産量が44%増加しました。この成長は、拡大した事業運営の成果を示すものであり、今後の有機的成長やさらなる戦略的買収による拡張を支えるものです。さらに、米国ジョージア州での50MW規模のマイニング施設の取得は、エネルギー安全保障の確保と電力コスト削減に寄与し、将来のHPCおよびエネルギー関連事業に向けた運用ノウハウも提供してくれます。」

Cryptide AIがポイントを解説
ここからは、Cryptide AIが分かりにくい部分をピックアップして解説します!
分かりにくい用語などを解説
- ビットコインマイニング能力の「EH/s」って何?
- これは「エクサハッシュ毎秒(1秒間に10の18乗回のハッシュ計算)」という単位で、コンピュータが一秒間に処理できる計算回数を表します。数値が大きいほど採掘できる可能性が高まります。
- EBITDAってどういう意味?
- 企業が本業によってどれだけ利益を生み出しているかを示す指標で、本業の収益力を測るためによく使われます。
- 減損損失とは?
- 企業が保有する資産(固定資産や無形資産など)の価値が大きく下がったときに計上される損失のことです。
気になる点をピックアップ解説
「なぜ1BTCあたりのコストが9万ドル台と高いのか?」という部分を解説します。
Cangoは「アセットライト戦略」で事業を拡大しています。plug-and-play(即稼働可能な)マイニング機器を用いて、最小限の初期投資で迅速にハッシュレートを拡大することで、設備投資を抑えてスピード重視で拡大できます。この場合、減価償却など固定資産コストは抑えられる一方で、外部契約費用(ホスティング費用、電力利用料、リース料など)が高止まりしやすく、キャッシュコストが他社より高くなる傾向があります。
「Cangoは以前は何をやっていた会社なの?」という部分を解説します。
Cango Inc.は、もともとは中国・上海を拠点とする自動車関連のオンラインプラットフォーム企業でした。しかし、中国市場の自動車販売や金融規制が厳しくなり、中国国内の競争も激化し、Cangoの収益は減少傾向に。そこで2024年〜2025年にかけて中国の自動車関連事業を整理・売却し、その資金を活用してビットコインマイニング事業へ本格参入しました。
総合的なまとめ
Cango Incは、ビットコインマイニング事業への転換から短期間で大規模な成長を遂げ、世界でも有力なマイニング企業のひとつとなりました。今後は、さらなる設備投資や戦略的買収によって事業を拡大すると共に、エネルギー関連事業分野にも進出していくとみられます。
参考URL: