プレスリリースのポイント
- CertiKが米国のデジタル資産政策を包括的に分析したレポートを発表
- GENIUS法、CLARITY法、SAB121撤回により規制の明確化が進展
- 金融機関の焦点が「Permissioned Digital Assets(許可制デジタル資産)」へ移行
CertiKが米国のデジタル資産政策に関する包括的レポートを発表
【シンガポール、シンガポール 2025年12月5日】
世界最大のWeb3セキュリティサービスプロバイダーであるCertiKは、「CertiK U.S. Digital Asset Policy Report」を発表しました。
このレポートは、2025年の米国で形成された規制枠組みを包括的に分析したものです。
レポートは、最新の立法上の成果をもとに「GENIUS法」「CLARITY法」「SEC(米国証券取引委員会)によるStaff Accounting Bulletin 121(SAB 121)の撤回」という3つの柱から成る連邦枠組みを取り上げています。
これらの動きにより、ステーブルコイン発行、デジタル資産の分類、機関向けカストディの各基準がより明確に確立されたとしています。
規制変化による影響:銀行・ステーブルコイン発行者・事業者への新たな方向性
レポートによると、銀行や信託会社は、デジタル資産カストディ業務を展開するための明確な道筋を得られており、ステーブルコイン発行者は統一された準備金および償還ルールへの対応が求められているとしています。
さらに複数の州で事業を行う企業にとっては、サイバーセキュリティおよびマネーロンダリング防止(AML)要件の共通基盤に準拠する必要があると述べています。
CertiKのHead of AdvisoryであるKayvon Hosseini氏は、次のようにコメントしています。
「このレポートは、米国全体でデジタル資産がどのように規制・監督されているかについての重大な転換点を明らかにしています。連邦レベルの立法や市場構造に関する提案、さらには州レベルの義務を分析することで、この調査はデジタル資産企業が今後数年間で満たさなければならない運用上の要求を浮き彫りにしています。」
レポートで明らかになった主要ポイント
主要項目をまとめると下記のようになります。
- GENIUS法とCLARITY法の成立により、ステーブルコインの発行基準やデジタル資産の分類がこれまでより明確になった。
- また、上院での市場構造に関する提案では、開示義務を用途に応じて調整し、デジタル・コモディティ市場に対するCFTCの監督権限を拡大している。
- SAB121の撤回によって、これまでデジタル資産カストディアンに課されていた資本面での制約がなくなり、より多くの銀行がこの分野に参入できるようになった。
- 州ごとにバラバラなライセンス制度は依然として残っており、サイバーセキュリティやAML(マネーロンダリング対策)では共通基準が整いつつあるにもかかわらず、複数州で事業を行う事業者にとっては依然として「連邦法による一元的な上書き」が欠けている。
- Regulated Liability Network や Project Guardian などの制度実証プログラムは、パーミッション型の決済インフラの導入が加速していることを示している。
デジタル資産市場の新たな焦点:「Permissioned Digital Assets」
レポートでは、州ごとに導入された独自のデジタル資産枠組みや、スマートコントラクトのセキュリティ強化に向けたコード監査基準の改善も取り上げています。
さらに、金融機関の戦略的焦点は、明確に定義された規制範囲内でブロックチェーン決済を活用する「Permissioned Digital Assets(許可制デジタル資産)」へと移行していることを指摘しています。
流動性が法域ごとに分断されている状況(例:米国とEUのMiCA準拠プール間)で、規制の差異を理解し、越境コンプライアンス体制を構築することが競争優位の鍵になると分析されています。
本レポートは、連邦および州レベルの規制の交差を理解したい金融機関、デジタル資産企業、政策立案者にとって、有用な情報源となると位置づけられています。変化する規制環境において、対応すべき運用・技術・コンプライアンスの方向性を提示している点が特徴です。
CertiKについて
CertiKは、フォーマル・ベリフィケーション技術を活用し、ブロックチェーンやスマートコントラクトを保護・監視する世界最大のWeb3セキュリティサービス企業です。
2017年12月にYale UniversityおよびColumbia Universityの教授陣によって設立され、学術研究を実社会のブロックチェーン開発に応用しています。これまでに5,000社以上の企業クライアントと提携し、6,000億ドル以上のデジタル資産を保護。ブロックチェーンコード中で18万件超の脆弱性を検出してきました。
主なクライアントにはAptos、Ripple、Sandbox、Polygon、BNB Chain、TONなどが挙げられます。またSequoia、Coatue、Goldman Sachs、Shunwei Capital、Insight Partnersなど12の著名ファンドからの投資を受け、企業評価額は20億ドルを超えています。
最新情報はX(旧Twitter)、LinkedIn、Telegram、Discordで発信されています。

Cryptide AIがポイントを解説
ここからは、Cryptide AIが分かりにくい部分をピックアップして解説します!
分かりにくい用語などを解説
- GENIUS法・CLARITY法とは?
- 米国で提案・制定されたデジタル資産関連の法律です。GENIUS法はステーブルコインなどの定義や発行ルールを明確化し、CLARITY法は暗号資産が証券か商品かを分類する基準を示しています。
- SAB 121撤回の意味は?
- 米国証券取引委員会(SEC)が出していた「銀行などが顧客の暗号資産を自社資産として計上すべき」とする規則を撤回したことです。この撤回によって、銀行が顧客のデジタル資産を保管しやすくなり、より多くの金融機関がカストディ業務に参入できるようになりました。
- 許可制デジタル資産(Permissioned Digital Assets)とは?
- 「誰でも参加できる」オープンなブロックチェーンとは異なり、特定の企業や金融機関など限られた参加者のみが利用できるブロックチェーン上の資産を指します。
気になる点をピックアップ解説
「米国の新しいデジタル資産法制(GENIUS法・CLARITY法など)は企業にどんな影響を与えるのか?」という部分をピックアップ解説します。
これらの法案は、これまで曖昧だった「暗号資産が証券か、商品か」という線引きを明確化し、発行体・取引所・銀行のそれぞれが守るべきルールを定義しています。
企業は不確実な規制リスクを避けやすくなり、安心して事業を展開する環境が整います。
ただし、法令遵守コストが増加し、小規模事業者には負担となる可能性もあり、市場の信頼性が高くなるとともに、参入ハードルも上がってきています。
総合的なまとめ
CertiKは、米国のデジタル資産規制の最新動向をまとめた「U.S. Digital Asset Policy Report」を発表しました。
レポートでは、GENIUS法・CLARITY法・SAB121撤回による法的枠組みの変化が分析され、ステーブルコイン発行やカストディ業務の基準が明確化されたと指摘。銀行・信託会社の参入が進む一方で、複数州間の規制差異やサイバーセキュリティ対応が新たな課題となっています。
また、金融機関の関心は「Permissioned Digital Assets(許可制デジタル資産)」に移り、法域を超えた流動性管理が競争優位の鍵になるとしています。
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