プレスリリースのポイント
- Tezosが第19回目となる「Seoul」アップグレードを実施
- ネットワーク効率が63倍改善され、セキュリティも強化
- ステーキング操作がシンプル化し、初心者にも分かりやすく改善
Tezos「Seoul」アップグレードとは
2025年9月19日、Tezosブロックチェーンは19回目となるプロトコルアップグレード「Seoul」を実施しました。今回のアップデートは、バリデータ(ベーカー)やコミュニティメンバーが広く参加するオンチェーンガバナンスを通じて承認され、機関投資家向け機能の強化、ネットワーク性能の向上、そしてステーキング体験の改善を実現しました。
特に、機関投資家が求めるセキュリティ強化や、ステーキング利用者にとっての利便性向上が大きなポイントとされています。
マルチシグ対応でセキュリティを強化
「Seoul」アップグレードでは、新たにプロトコルネイティブのマルチシグ(multisignature)機能が追加されました。これにより、ほとんどのブロックチェーンで使われるシングルキー方式では実現できない、より強固で柔軟なアカウントセキュリティを提供し、機関投資家のニーズに応えています。
Nomadic LabsのHead of EngineeringであるYann Régis-Gianas氏は次のように述べています。
「プロトコルネイティブのマルチシグを利用することで、外部ソリューションに依存せずにアカウントを共同管理できるようになり、使いやすさ・セキュリティ・コスト面で大きな前進となります。プロトコルレベルでマルチシグを提供することにより、これまでコストが高すぎて利用できなかったユーザーも、インスティテューショナルグレードのセキュリティの恩恵を受けられるようになります。」
「aggregated attestations」による63倍の効率化
今回のアップデートでは、ブロックチェーンの性能改善も大きな注目点です。
新機能「aggregated attestations」により、ブロックチェーン検証の重要部分に必要とされる帯域幅とストレージ要件が、1日あたり約900MBからわずか14MBへと大幅に削減されました(最大63分の1)。
この効率化により、取引の確定(ファイナリティ)がより高速になり、ユーザー体験がスムーズになることが期待されています。
マルチシグ機能と効率性の向上はどちらもBLS署名を利用しており、これにより、セキュリティや検証可能性を損なうことなく、複数の暗号署名を1つの署名に組み合わせることができます。
Yann Régis-Gianas氏は次のようにコメントしています。
「強力な暗号化ツールを用いることで、Tezosをより使いやすく、高速化し、同時により安全にすることができます。これは、Tezos Xロードマップにおける野心的な目標の実現に向けた、もう一つの大きな一歩です。」
ステーキング体験の改善
「Seoul」ではステーキング関連の操作も改善されました。従来はステーキング解除後に手動での操作が必要でしたが、新仕様ではワンクリックでアンステーキングが可能になりました。
セキュリティ上の理由から資金の解放には4日間の待機期間が必要ですが、この期間が過ぎればユーザーが操作を行わなくても自動的に引き出し可能となります。
今回のアップグレードを開発したチーム
「Seoul」アップグレードは、Nomadic Labs、Trilitech、Functoriといった複数の開発チームが協力して進められました。
メインネット開始から7年を迎えた今も、Tezosは進化するユーザーニーズに対応するためにアップグレードを成功させ続け、その独自の「自己修正(self-amending)」能力を示し続けています。
Tezosとは?
オープンソースでエネルギー効率に優れたブロックチェーンです。機関、開発者、企業を支援し、デジタル環境での価値移転を可能にすることを目的としています。スケーラブルな分散型アプリケーションの展開に適して設計されており、初期のProof of Stakeブロックチェーンのひとつとして世界的に支持されています。

Cryptide AIがポイントを解説
ここからは、Cryptide AIが分かりにくい部分をピックアップして解説します!
分かりにくい用語などを解説
- マルチシグって何?
- 1つの取引やアカウント操作を承認するのに 複数の秘密鍵(署名) を必要とする仕組みのこと。セキュリティが高くなる。
- ファイナリティって何?
- ブロックチェーン上の取引が最終的に変更不可能になった状態。処理スピードが速いほど安心できる。
- BLS(Boneh–Lynn–Shacham Signature)署名って何?
- 多人数の署名をひとまとめにできるデジタル署名方式の一つ。セキュリティを保ちながらデータを軽量化できる。
気になる点をピックアップ解説
「63倍効率化とはどんな意味があるのか?」という部分をピックアップ解説します。
ブロックチェーン検証作業に必要なデータ量を大幅に減らすことができます。900MB必要だったものが14MBになり、節約効果は約63倍。これはブロックチェーンがより軽く動くことを意味しており、高速な処理と低コストを実現する根拠になります。
総合的なまとめ
今回のアップグレードは、セキュリティ、効率、利便性の3つを改善しました。マルチシグ導入で安全性が高まり、63倍効率化で処理が軽くなり、ステーキングが使いやすくなっています。
参考URL: